『IDすべきか、ガチるべきか』論~最終戦の結果は、オポにどう影響するか?
2011年7月13日 考察記事http://magicgao.diarynote.jp/201107020858555090/
先日の「IDすべきか、ガチるべきか」の記事は、300以上のヒットがあり多くの方に閲覧
いただきましたけど、あまりにも個人的な考察だったのでおそらくお役に立てなかった
ことと思われます。がっかりした方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。
今回はもう少し一般的な考察をしたいと思います。
知りたいのは
『7回戦の大会で6回戦終了時に発表されたオポは、7回戦終了時にどれくらい変動しうるか?』
『6回戦終了時点で、どれくらいのオポ差があれば安心してIDできるか?』
ということです。
まずは基本事項のおさらい。オポとはオポーネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ
のことで、対戦相手の(ゲームではなく)マッチの勝率の平均のことです。
前回の福岡二次予選は7回戦でしたが、5-2の戦績の人の勝率は5/7ですので約71.4%。
自分のように1Byeの場合は、それを除いて4-2として勝率は4/6の約66.7%となります。
ただしある人の勝率が33.0%より小さい場合は、オポを計算するときは33.0%として計算
します。例えば0-2でドロップした相手と対戦した人のオポを計算するときは、0-2
は本来勝率0%ですが、33.0%として計算します。
引き分けがある場合は1/3勝とします。つまり5-1-1の人の勝率は、5.333/7で約76.2%
となります。
このようにして対戦した相手の勝率を全て計算して、それらを平均したものがオポです。
ここまでよろしいでしょうか?
それでは計算してみましょう。
計算を簡略化するため、ID以外の引き分けは無く、またByeもドロップもなかったという
仮定をおきます。
オポの定義から、
オポ=(自分の全対戦相手の勝利マッチ数の総数)/(ラウンド数)^2
です。
N-1回戦終了時、(N-2)勝1敗の戦績のプレイヤーのオポをPとすると、
P=(N-1回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)/(N-1)^2
最終戦IDしたとして、終了時のオポQは
Q=(N回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)/N^2
です。
(N回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)
=(N-1回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)・・・・・・・・①
+(N回戦の対戦相手の勝利マッチ数の総数)・・・・・・・・・・・・②
+(N-1回戦までの全対戦相手の、N 回戦目の勝利マッチ数の総数)・・③
①はP(N-1)^2ですし、②は同じ勝ち点のプレイヤー同士なら同じ数字(N-2)+0.333に
なるはずです。なので、オポを大きく変動させるのは③ということになります。
最終的なオポQは
Q=(①+②+③)/N^2
なので、①=P(N-1)^2を代入すると
Q={P(N-1)^2+②+③}/N^2
=P(N-1)^2/N^2+(②+③)/N^2
となります。
N-1回戦終了時のオポPが、最終戦終了時に(N-1)^2/N^2に圧縮されることが
おわかりでしょうか?この比を圧縮率と呼びましょう。
最終戦の結果で加算される項は②と③です。②に関しては(N-2)勝1敗のプレイヤーと
IDしたのなら先ほど示した(N-2)+0.333ですが、全勝のプレイヤーとIDしたのなら
(N-1)+0.333になり、最終オポQが1/N^2の分だけ有利になります。
この値が1人1勝当り加算されるポイントになります。
③は大きく変動します。N回戦ならそれまで対戦した(N-1)人のプレイヤーに関して、
最終戦で1人勝つ毎に最終オポQに、1/N^2の分が加算されます。全員勝てば(N-1)/N^2の
分の寄与になります。
具体例で考えて見ましょう。先の福岡二次予選では、95人の7回戦でした。
5-1-1でも勝ち抜けられない人が出てくる大会でした。
7回戦の大会では、1人1勝あたりオポへの寄与は1/49でおよそ2ポイント、
圧縮率は36/49でおよそ0.735です。
6回戦終了時で5勝1敗のプレイヤー太郎さんのオポが58.0%だったとしましょう。
同じ5-1のプレイヤーで最もオポが低い花子さんのオポが50.0%だったとしましょう。
この場合両者の差は8.0ポイント。このまま他の加算がなかったとしたら、7回戦のオポは
36/49に圧縮されてそれぞれ42.6%と36.7%とその差は5.9ポイント(=8.0×0.735)になります。
花子さんが太郎さんをオポで逆転するためには、7回戦で加算される項の中で3人分の
勝利ポイント差が必要です。上位陣(6戦全勝)とIDできれば1人分の勝利と数える
ことができます。そうでない場合、すなわち5勝1敗のプレイヤー同士のIDであれば、
花子さんのこれまでの対戦相手6人が全員7回戦で勝ち、太郎さんのこれまでの対戦
相手6人が3勝3敗以下でなければなりません。これは相当難しい状況です。
太郎さんと花子さんの6回戦終了時点でのオポ差が5ポイント以内なら、まだ逆転の目
があります。5ポイント差は圧縮されて約3.7ポイント差になりますので、2人分の勝利
ポイントで逆転できます。太郎さんのこれまでの対戦相手6人が2勝4敗で、花子さんの
これまでの対戦相手6人が4勝2敗なら逆転できることになります。
ラウンド数が増えれば、圧縮率が1に近づき1人分の勝利ポイントも小さくなります。
9回戦なら圧縮率は64/81でおよそ0.79、1人分の勝利ポイントも1/81でおよそ1.2
ポイントになります。オポ差をひっくり返すのは、より難しくなるわけです。
簡単な判断方法として、圧縮したオポ差が、1人分の勝利ポイント内なら容易に逆転され
うる危険ゾーン、2人分の勝利ポイント内なら要注意ゾーン、3人分の勝利ポイント以上
だったら安全ゾーンと言えるのではないでしょうか。
【補足】
実際は、Byeやドロップしたプレイヤーが絡むので、もう少し複雑な計算になります。
自分のそれまでの対戦相手がドロップすると、最終戦の加算は減りますが、その分
圧縮率は1に近づきます。その結果、変動幅が小さくなります。
極端な話全員がドロップしていると、最終戦終了時のオポQは6回戦終了時のオポPを使って
Q=(P×6+0.762)/7と簡単に計算できます。0.762は7回戦でIDした相手の勝率(5-1-1
として)で、上位とIDできれば0.905(6-0-1)もしくは0.809(5-0-2)に
なります。
実際はオポの低いプレイヤーの方が、対戦相手がドロップする確率が高いわけで、
ドロップした人が多いほど圧縮率が1に近づき変動幅が小さくなることを考えれば、
オポが低いプレイヤーの逆転の可能性は、もう少し低下することになると思います。
今回はお役に立てたかな?
詳しい計算が知りたい方、ご質問がある方はどうぞコメント欄まで。
先日の「IDすべきか、ガチるべきか」の記事は、300以上のヒットがあり多くの方に閲覧
いただきましたけど、あまりにも個人的な考察だったのでおそらくお役に立てなかった
ことと思われます。がっかりした方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。
今回はもう少し一般的な考察をしたいと思います。
知りたいのは
『7回戦の大会で6回戦終了時に発表されたオポは、7回戦終了時にどれくらい変動しうるか?』
『6回戦終了時点で、どれくらいのオポ差があれば安心してIDできるか?』
ということです。
まずは基本事項のおさらい。オポとはオポーネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ
のことで、対戦相手の(ゲームではなく)マッチの勝率の平均のことです。
前回の福岡二次予選は7回戦でしたが、5-2の戦績の人の勝率は5/7ですので約71.4%。
自分のように1Byeの場合は、それを除いて4-2として勝率は4/6の約66.7%となります。
ただしある人の勝率が33.0%より小さい場合は、オポを計算するときは33.0%として計算
します。例えば0-2でドロップした相手と対戦した人のオポを計算するときは、0-2
は本来勝率0%ですが、33.0%として計算します。
引き分けがある場合は1/3勝とします。つまり5-1-1の人の勝率は、5.333/7で約76.2%
となります。
このようにして対戦した相手の勝率を全て計算して、それらを平均したものがオポです。
ここまでよろしいでしょうか?
それでは計算してみましょう。
計算を簡略化するため、ID以外の引き分けは無く、またByeもドロップもなかったという
仮定をおきます。
オポの定義から、
オポ=(自分の全対戦相手の勝利マッチ数の総数)/(ラウンド数)^2
です。
N-1回戦終了時、(N-2)勝1敗の戦績のプレイヤーのオポをPとすると、
P=(N-1回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)/(N-1)^2
最終戦IDしたとして、終了時のオポQは
Q=(N回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)/N^2
です。
(N回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)
=(N-1回戦までの全対戦相手の勝利マッチ数の総数)・・・・・・・・①
+(N回戦の対戦相手の勝利マッチ数の総数)・・・・・・・・・・・・②
+(N-1回戦までの全対戦相手の、N 回戦目の勝利マッチ数の総数)・・③
①はP(N-1)^2ですし、②は同じ勝ち点のプレイヤー同士なら同じ数字(N-2)+0.333に
なるはずです。なので、オポを大きく変動させるのは③ということになります。
最終的なオポQは
Q=(①+②+③)/N^2
なので、①=P(N-1)^2を代入すると
Q={P(N-1)^2+②+③}/N^2
=P(N-1)^2/N^2+(②+③)/N^2
となります。
N-1回戦終了時のオポPが、最終戦終了時に(N-1)^2/N^2に圧縮されることが
おわかりでしょうか?この比を圧縮率と呼びましょう。
最終戦の結果で加算される項は②と③です。②に関しては(N-2)勝1敗のプレイヤーと
IDしたのなら先ほど示した(N-2)+0.333ですが、全勝のプレイヤーとIDしたのなら
(N-1)+0.333になり、最終オポQが1/N^2の分だけ有利になります。
この値が1人1勝当り加算されるポイントになります。
③は大きく変動します。N回戦ならそれまで対戦した(N-1)人のプレイヤーに関して、
最終戦で1人勝つ毎に最終オポQに、1/N^2の分が加算されます。全員勝てば(N-1)/N^2の
分の寄与になります。
具体例で考えて見ましょう。先の福岡二次予選では、95人の7回戦でした。
5-1-1でも勝ち抜けられない人が出てくる大会でした。
7回戦の大会では、1人1勝あたりオポへの寄与は1/49でおよそ2ポイント、
圧縮率は36/49でおよそ0.735です。
6回戦終了時で5勝1敗のプレイヤー太郎さんのオポが58.0%だったとしましょう。
同じ5-1のプレイヤーで最もオポが低い花子さんのオポが50.0%だったとしましょう。
この場合両者の差は8.0ポイント。このまま他の加算がなかったとしたら、7回戦のオポは
36/49に圧縮されてそれぞれ42.6%と36.7%とその差は5.9ポイント(=8.0×0.735)になります。
花子さんが太郎さんをオポで逆転するためには、7回戦で加算される項の中で3人分の
勝利ポイント差が必要です。上位陣(6戦全勝)とIDできれば1人分の勝利と数える
ことができます。そうでない場合、すなわち5勝1敗のプレイヤー同士のIDであれば、
花子さんのこれまでの対戦相手6人が全員7回戦で勝ち、太郎さんのこれまでの対戦
相手6人が3勝3敗以下でなければなりません。これは相当難しい状況です。
太郎さんと花子さんの6回戦終了時点でのオポ差が5ポイント以内なら、まだ逆転の目
があります。5ポイント差は圧縮されて約3.7ポイント差になりますので、2人分の勝利
ポイントで逆転できます。太郎さんのこれまでの対戦相手6人が2勝4敗で、花子さんの
これまでの対戦相手6人が4勝2敗なら逆転できることになります。
ラウンド数が増えれば、圧縮率が1に近づき1人分の勝利ポイントも小さくなります。
9回戦なら圧縮率は64/81でおよそ0.79、1人分の勝利ポイントも1/81でおよそ1.2
ポイントになります。オポ差をひっくり返すのは、より難しくなるわけです。
簡単な判断方法として、圧縮したオポ差が、1人分の勝利ポイント内なら容易に逆転され
うる危険ゾーン、2人分の勝利ポイント内なら要注意ゾーン、3人分の勝利ポイント以上
だったら安全ゾーンと言えるのではないでしょうか。
【補足】
実際は、Byeやドロップしたプレイヤーが絡むので、もう少し複雑な計算になります。
自分のそれまでの対戦相手がドロップすると、最終戦の加算は減りますが、その分
圧縮率は1に近づきます。その結果、変動幅が小さくなります。
極端な話全員がドロップしていると、最終戦終了時のオポQは6回戦終了時のオポPを使って
Q=(P×6+0.762)/7と簡単に計算できます。0.762は7回戦でIDした相手の勝率(5-1-1
として)で、上位とIDできれば0.905(6-0-1)もしくは0.809(5-0-2)に
なります。
実際はオポの低いプレイヤーの方が、対戦相手がドロップする確率が高いわけで、
ドロップした人が多いほど圧縮率が1に近づき変動幅が小さくなることを考えれば、
オポが低いプレイヤーの逆転の可能性は、もう少し低下することになると思います。
今回はお役に立てたかな?
詳しい計算が知りたい方、ご質問がある方はどうぞコメント欄まで。
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