映画『レスラー』の感想(ネタバレあり)
2012年7月8日 特撮・映画随分前にテレビ放映されたものを録画で鑑賞。
レスラーである男の生き様を描いた作品だ。
この映画は、主人公と俳優の人生を重ね合わせて語られることが多いようだけど、
自分はミッキー・ロークという俳優の人生については良く知らない。
しかし、プロレスファンの自分としては、よく知っている実在のレスラーと重ね
合わせて観てしまっていた。それくらい、リアリティのある映画だった。
あらすじには「かつてのスターレスラーが、今は落ちぶれて・・・」などとあるけど、
弱小団体からとは言えメインイベンターとして招聘されているし、子供たちやファンの
人気も健在だ。これくらいでは落ちぶれてとは言えない。かつてのスターが前座くらい
しか試合に出られないとか、試合すらできない状態を「落ちぶれた」というべきだ。
例えて言うなら、藤波辰巳や長州力、あるいは初代タイガーマスクといった面々だろう。
かつての華やかな動きはもはやできないが、それでも彼らの必殺技を見にファンは
集まるし、マイナー団体の興行なら、十分メインイベントは務まる。
そういう立場の主人公だから、やさぐれたりやけっぱちになったりしてるわけでなく、
それなりに充実感がある。ファンサービスにも熱心だ。身体にはガタが来てるし、
痛み止めなどのドラッグは欠かせないわけだが、それでもリングに上がり、ファンの
歓声を受けるのが人生であり、自分のアイデンティティなのだ。
一方、平日のスーパーのバイトは、もう一つの裏の人生。上司には本名で呼ばれ、
名札にはロビン。レスラーである自分には到底受け入れがたい状況だ。
主人公にとっては、偽の人生なのかもしれない。
しかし心臓発作で倒れたことで、医者からまさに死の宣告に等しいことを言われて
しまう。「もう試合はできない」と。
引退を決意し、予定していた興行をキャンセルし、スーパーのバイトのシフトも
増やし、偽の人生を本当の人生にしようとする。
しかし、スーパーの客から「あんた、レスラーじゃないか?」と気づかれたとき、
抑えていたものが噴き出してしまう。こんな人生はオレじゃない!
「オレを(リングネームの)ランディと呼べ!」
あのリングがオレの人生だ。ファンがいる限りオレはレスラーだ。
主人公は試合前に叫ぶ。「引退を決めるのは、お前たちファンだ」
肝臓ガンから復帰した小橋、脳梗塞から復帰した高山。もうかつてのような動きが
できるはずもないとわかっているが、それでも彼らがリングに上がると応援してしまう。
ファンとは何と残酷なものだ。
試合中盤に明らかに体調が悪くなった主人公を見て、試合を止めようとするレフリー。
しかしそれを振り払って、自分の必殺技の態勢に入る主人公・・・
そこで映画は終わる。
結末は映画の観客の想像に委ねられているが、最後に自分が思い描いたのは、
あの偉大なレスラー、三沢光晴。
奇しくもこの映画の日本公開日は、あの偉大なレスラーの命日。
タイツカラーも、この映画の主人公と同じ緑。
この映画の完成度は、奇跡的とさえ言えると思う。プロレスファンなら必見だ。
レスラーである男の生き様を描いた作品だ。
この映画は、主人公と俳優の人生を重ね合わせて語られることが多いようだけど、
自分はミッキー・ロークという俳優の人生については良く知らない。
しかし、プロレスファンの自分としては、よく知っている実在のレスラーと重ね
合わせて観てしまっていた。それくらい、リアリティのある映画だった。
あらすじには「かつてのスターレスラーが、今は落ちぶれて・・・」などとあるけど、
弱小団体からとは言えメインイベンターとして招聘されているし、子供たちやファンの
人気も健在だ。これくらいでは落ちぶれてとは言えない。かつてのスターが前座くらい
しか試合に出られないとか、試合すらできない状態を「落ちぶれた」というべきだ。
例えて言うなら、藤波辰巳や長州力、あるいは初代タイガーマスクといった面々だろう。
かつての華やかな動きはもはやできないが、それでも彼らの必殺技を見にファンは
集まるし、マイナー団体の興行なら、十分メインイベントは務まる。
そういう立場の主人公だから、やさぐれたりやけっぱちになったりしてるわけでなく、
それなりに充実感がある。ファンサービスにも熱心だ。身体にはガタが来てるし、
痛み止めなどのドラッグは欠かせないわけだが、それでもリングに上がり、ファンの
歓声を受けるのが人生であり、自分のアイデンティティなのだ。
一方、平日のスーパーのバイトは、もう一つの裏の人生。上司には本名で呼ばれ、
名札にはロビン。レスラーである自分には到底受け入れがたい状況だ。
主人公にとっては、偽の人生なのかもしれない。
しかし心臓発作で倒れたことで、医者からまさに死の宣告に等しいことを言われて
しまう。「もう試合はできない」と。
引退を決意し、予定していた興行をキャンセルし、スーパーのバイトのシフトも
増やし、偽の人生を本当の人生にしようとする。
しかし、スーパーの客から「あんた、レスラーじゃないか?」と気づかれたとき、
抑えていたものが噴き出してしまう。こんな人生はオレじゃない!
「オレを(リングネームの)ランディと呼べ!」
あのリングがオレの人生だ。ファンがいる限りオレはレスラーだ。
主人公は試合前に叫ぶ。「引退を決めるのは、お前たちファンだ」
肝臓ガンから復帰した小橋、脳梗塞から復帰した高山。もうかつてのような動きが
できるはずもないとわかっているが、それでも彼らがリングに上がると応援してしまう。
ファンとは何と残酷なものだ。
試合中盤に明らかに体調が悪くなった主人公を見て、試合を止めようとするレフリー。
しかしそれを振り払って、自分の必殺技の態勢に入る主人公・・・
そこで映画は終わる。
結末は映画の観客の想像に委ねられているが、最後に自分が思い描いたのは、
あの偉大なレスラー、三沢光晴。
奇しくもこの映画の日本公開日は、あの偉大なレスラーの命日。
タイツカラーも、この映画の主人公と同じ緑。
この映画の完成度は、奇跡的とさえ言えると思う。プロレスファンなら必見だ。
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