いじめで亡くなる小中学生のニュースを聞くたびに、とてもやりきれない気持ちになる。
「昔のいじめは今ほど陰湿ではなかった」なんて、昔を美化する人もいるけど、実際は
全然そんなことはなくて、今も昔もいじめられる側にとっては辛いことには変わりないし、
命に関わる事態に至ることだって昔からあった。

いじめは人間の本質的な悪意の表れであって、世の中から無くなることはないとは
思うけど、被害が生命におよぶ前に何とかならなかったものだろうか。

こういう問題が発覚した後、周囲が考えなくてはならないことが2つある。

1つは、現在同じ立場にある子供たちに対して、きちんとメッセージを送ることだ。
同じ立場とはつまり、いじめられている子、いじめている子、それを傍観している子だ。
いじめられている子には、きちんと周囲の大人にSOSを送るよう、
いじめている子には、それがすぐに取り返しのつかないことになること、
傍観している子には、それも正しい態度ではないこと、
をきちんと伝えなくてはならない。

そういう視点で見ると、担任などの教職員・教育委員会の対応は最悪だ。

担任はいじめを見て見ぬふりをしていたらしいし、現場を見て「やりすぎんなよ」
と声をかけていたらしい。

校長は、生徒に記入させたアンケートにウソがあったと断言。
どうやってそれがウソだとわかったのか、説明もないままにね。

こんな学校では、生徒との信頼関係なんか、築けるわけがない。

学校を管理する立場の教育委員会は当初、「いじめと自殺の因果関係は判断できない」
として職務を放棄してた。判断できるだけの材料を集めて、それを一つ一つ調べるのが
教育委員会じゃないの?それどころか、被害者側に「いつ、どこで、どういう事実が
あったのか」を指摘するよう要求したとか。被害者側こそ、それが知りたいことなのに!

学校・教育委員会がいい加減なことばかりしているから、司法が介入するのも当然だ。
つまり警察が、学校を家宅捜索したり、聞き込み調査を始めるわけだ。

マスコミなどでは、学校現場に警察が入るのを批判的に言う人もいるけど、自分は
むしろ「なぜ今までそうして来なかったのか?」と思っていた。人の生命に関わる
ことなら刑事事件になるのは当たり前だし、いじめっ子に対しても抑止力になるだろう。

化学工場の事故や火災が起きたら、警察が介入して安全対策に不備があったかどうかが
調査が入るのは当然だ。そりゃ現場の人や会社側は嫌がるかもしれないけど、
それによって安全対策が高まるのなら、歓迎すべきことではないか。

その警察だって、被害者側からの被害届を3回断ったという汚点はあるものの、
世論の高まりを無視できなくなったのだろう。マスコミの果たす役割も大きい。

しかし、正しいメッセージを送るという視点から言えば、まだまだマスコミも不十分だ。
教育関係者を批判して得意げになるのでは無く、いじめ問題解決のための提案や
「社会はいじめを許さない」というメッセージ発信も率先して行ってほしい。

例えば単なる「万引き」ではなく「窃盗」と言うように、単に「いじめ」というのでは無く、
校内犯罪とか教室内虐待とか集団暴行とかもっとインパクトのあるように表現するのは
どうだろうか?重大な犯罪を連想させるような表現にしたり、あるいは刑法~条では
○○年以下の懲役刑に相当するなどと具体的に伝えることで、抑止力が期待できるのでは
ないだろうか。

逆にネット社会では、いじめた生徒の実名や顔写真、親族の情報などが広まっている。
恐ろしい時代になったものだ。犯罪に対する憤りや正義感から行うのだろうけど、
行き過ぎればこれもいじめだし、デマや誤情報で迷惑を被る人もいるだろう。
集団ヒステリーという状況に陥らないよう、自制したい。


周囲が考えなくてはならないことの2つめは、いじめの被害を最小限にするためには
教師一個人や教育委員会などの一組織に頼るのではなく、関係する各個人や各組織が
システムとして機能しなればならないということだ。

事故や災害の被害を以下に最小限に抑えるか、ということを研究する学問を安全工学
という。安全工学で基本的な考えの一つに、「人間はミスをする」というものがある。
そのミスを補えるようにシステムを構築することが、基本理念だ。

一個人のミスが事故に繋がったとして、その人の責任を追及したり、罰を与えたり、
「次からは気をつける」と誓わせたりすることは、安全対策にならない。

責任を追及することばかりに熱心だと、逆にその人は罰をできるだけ回避しようと、
保身のために偽証やごまかし、隠蔽を行う。それは、原因追及・真相解明の邪魔に
しかならないものだ。

そういう意味では司法の介入、つまり警察や裁判では、いじめの被害を最小限にする
ためのシステム構築には繋がらない。だからいつまでたっても悲劇が無くならないのだ。

飛行機の事故など社会的に大きな事故の場合、警察などの司法とは独立した権限を持つ
事故調査委員会(現在は運輸安全委員会と改組)が、関係者の責任を問うことなく、
事故の再発防止や安全性の向上を目的とした調査を行ってきた。

いじめ問題解決にも、こういう視点が必要だと思う。

「児童・生徒はいじめをする、問題行動をする」ということを前提に、それを早期発見
早期対応ができるようなシステム構築を目指すのだ。

具体的には、教師とは別の人員で「校内犯罪対策室」を設けて、生徒と教師の問題行動
を監視させる。と言っても、その責任を追及したり罰したりすることを目指すのではない。

学校に警察を派遣させるのではない。イメージとしては工場の安全対策室のようなものだ。
安全対策室は、理想的には労働者と使用者の両方を監視する。労働者の不安全行為や、
使用者の安全対策不備を指摘し、改善することを目指すわけだ。それを各学校でも行えばいい。

そもそも、校内に教師と生徒の二陣営しかないから、問題が明るみに出にくいのだ。
しかも明らかに力関係に上下があるならなおさらだ。三すくみのほうが、健全な関係なのは
言うまでもない。

これは、アイディアの一つにすぎない。しかしマスコミが良く言う「安全であるべき学校」
を実現するためには、こういう議論が出てしかるべきだ。
子供たちを悪意から守るためには、必要なコストだと思うけどね。

常識的なビジネスマンなら、「問題解決のためにすべきことは、批判することではなく、
提案することだ」とわかっているはず。マスコミは、なぜそれをできないのだろう・・・

コメント

しぃちゃん
2012年7月13日0:56

小中のいじめは基地外なレベルですよ。
自分は小中で学年大半に嫌われていじめられてましたよw
中学に至っては1学年下の連中のやんちゃ坊主にちょっかい出されてましたけどねw
今じゃ大人な対応をしてくる後輩が可愛いと思います。

ガ0-
2012年7月13日21:40

しぃちゃん、コメントありがと~!!

いじめはなくならないけど、乗り越えることはできる!
そういうメッセージを伝えられたら、いいですよね!

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